飯田市教育委員会は9日、今月から供用を開始した恒川史跡公園・清水エリア(座光寺)のお披露目会を現地で開いた。市や地元関係者、住民ら約60人が出席。史跡標識の除幕などを行い、同エリアの整備完了を祝った。
奈良・平安時代の役所である「伊那郡衙」関連の遺構がある「恒川官衙史跡」が2014年に国史跡に指定されたのを受け、市は18年に史跡公園整備基本計画を策定。座光寺地区と連携し、公園整備を進めている。
このうち、湧き水として律令祭祀も行われた清水エリアは、近年まで地域の水源として使われていたことから、地下遺構を保存するとともに水をたたえた景観を残す方針で整備した。
約1500平方メートルの敷地には芝生を敷き、年間を通じて水が湧き出る水場を整備。国道沿いには飯田技術専門学校の生徒たちが市産木材を使った東屋(あずまや)を設置した。標識は座光寺地区民に公募し、29作品の中から選ばれた文字を石碑に刻んだ。総事業費は4700万円。
お披露目会のあいさつで佐藤健市長は「一人でも多くの人が訪れてもらい、往時をしのぶとともに将来に思いをはせてほしい」と期待。「清水エリアの完成は全体計画の第一歩。これから1つ1つ整備を進め、多くの人が集う場所にしたい」と述べた。
計画では、約2・1ヘクタールを4つのエリアに区分。本年度からは史跡の特徴や価値を情報発信するガイダンス施設の基本設計に着手し、27年までに全てのエリアの整備を行う。
◎写真説明:整備が完了した清水エリア