飯田市が運行業務を委託する路線「乗合タクシー竜東線」で、EV(電気自動車)の乗合タクシー出発式が27日、市役所で開かれた。運行業務を請け負う南信州広域タクシー(同市上殿岡)が2台を追加導入。EV化によるCO2排出量削減効果に加え、災害で大規模な停電が発生した際の電気供給といった役割にも期待される。
市内の乗合タクシーはかざこし線、川路線、遠山郷高校通学支援線など全14路線。予約制で乗り合うデマンド型を採用し、担当課によると竜東線の2021年度の利用者数は延べ4897人だった。
市は「2050年いいだゼロカーボンシティ」を掲げ、2050年までのCO2排出実質ゼロを目指す。出発式で、佐藤健市長は「ゼロカーボンシティや災害に強いまちづくりの観点でも重要な取り組み」と述べ、公共交通車両のEV化も進めるとした。
今回導入したEV車は1回の充電で150~200キロ走行することができる。乗合タクシー竜東線で運行利用する他、通常のタクシーとしても走らせる。
あいさつに立った南信州広域タクシーの鈴木佳史社長は「環境に配慮した公共交通の一歩」と捉えた。EV充電設備を整備し、災害時の電源確保として開放する意向も示した。
市は1996年に目指す都市像として「環境文化都市」を掲げ、2007年に環境文化都市を宣言。09年には地球温暖化対策に積極的な自治体を支援する国の「環境モデル都市」に選定されている。
◎写真説明:EV乗合タクシーの出発式