中南信の自治体や有志でつくる「武田信玄狼煙会」は30日、戦国武将・武田信玄が情報伝達の手段として築いた狼煙を再現する恒例の「狼煙リレー」を行った。信玄生誕500周年記念の今回は根羽村―甲府市間約300キロで狼煙を伝達し、戦国の世に思いを馳せた。
「世代を超えて地域の大切な歴史文化を学び、地域・人と人をつなぐ連携」を目指して続けられ、今年で14回目。
当初は飯田下伊那地域が中心となって行っていたが、徐々に参加する自治体や団体が増加。節目の今年は、山梨県を含む23カ所が新たに加わり、過去最多となる27市町村66カ所をつなぐリレーが実現した。
この日は午前11時に根羽村の杣路峠からスタート。各所で待ち構えていた参加者達は立ち上る煙を確認するとやぐらに着火し、狼煙をつなげた。伊那谷から北上した狼煙は諏訪地域を経由し、甲府市の武田神社までを結んだ。
信玄は杣路峠から甲府までの間に狼煙台を数多く配置し、三河の情報を伝達していたとされ、狼煙台のあった飯伊二十数箇所は強く結びついていたという。
火おこしや射的にクイズ 城山で親子イベント
武田信玄生誕500年ののろしリレーに合わせ、飯田市山本地区の実行委員会は30日、城山公園で親子向けのイベントを開催した。小学生や親子、地域住民ら40人ほどが集まり、のろしの種火の火おこしや武田信玄にまつわるクイズや射的などのゲームを楽しんだ。
子どもや親子で広く楽しんでもらえる催しにしようと、山本公民館を中心とした実行委員会が企画した。
集まった子どもたちは、戦国武将の家紋を的にした射的ゲームに挑戦した。武田家の家紋が倒れると、信玄餅をプレゼント。「もうちょっと下」「惜しい」などと声を掛けながら大人も子どもも楽しんだ。
クイズ大会に続いて木をこすり合わせてのろしの種火をつくる火おこし体験。極楽峠や水晶山ののろしが上がると、城山でも点火した。伊那谷を北上していく様子を展望した。最後は、山梨県名物のほうとう汁を味わって温まった。
のろしを点火した山本小6年の女子児童(11)は「火おこしが難しかったけど楽しかった」。ボランティアで運営スタッフを務めた旭中3年の女子生徒(15)は「こんな催しがあったなんて知らなかった」と語った。
森本常美公民館長は「地域の楽しいイベントの一つとして定着していけば」と期待した。
◎写真説明:のろしの種火を火おこし(城山で)