高森町の壬生照玄町長は10日、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナに関わりのある町内団体の募金活動に協力すると発表した。役場と山吹支所、中央公民館に募金箱を設置して一旦は4月末ごろまで町民からの寄付を募る他、町の広報で活動の周知を図る。
協力するのは、町に事務所がある総合格闘技団体「空手道禅道会」(総本部・飯田市上郷黒田)が行う募金活動。同会は東南アジアや欧州各地に海外支部があり、ウクライナには7年ほど前に支部を立ち上げた。2019年には同国で欧州選手権大会を開催。大会に合わせて主席師範の小沢隆さん(61)=同町山吹=が主要5都市で技術セミナーを開くなど交流がある。
首都キエフにとどまっているとみられる同国支部の代表、イゴール・ユカチュクさんと現在もメールで連絡を取り合っており、「いざという時は女性や子どもをお願いしたい」などと相談を受けているという。
募金は同支部を通じて一般市民の救済に役立てる。壬生町長は「侵攻が始まった日から行政としてできることを考えていたが、募金をするのであれば相手に届いたことを確認できる必要があった」と説明。「直接的な支援ができる団体が町にあるということで協力を決めた」とした。
また、「禅道会を頼って避難先に高森町を希望するのであれば一生懸命バックアップしたい」と述べ、ウクライナから避難する人を町民研修センター「森の家」や空いている教員住宅など町の施設で受け入れる考えを示した。
この日は壬生町長と同会が町のケーブルテレビを通じて町民に協力を呼び掛けた。小沢さんは日本で行われた大会でウクライナやロシアの選手と競い合い、大会後はウォッカを飲んで交流したエピソードを紹介。「両国の選手たちが敵同士に分かれてしまっているのがつらい。また楽しく選手たちとウォッカを飲む日が来てほしい」と語った。
◎写真説明:ケーブルテレビを通じて協力を呼び掛ける壬生町長と小沢さん(中)