ロシアの侵攻を受け5月から高森町で避難生活を送っていたウクライナ人親子ら9人が5日、一時帰国する。2日、身元引受人となり生活をサポートしてきた空手道禅道会(総本部・飯田市上郷黒田)が同町内で壮行会を開き、親子らの長旅と本国での安全を願いながら別れを惜しんだ。
禅道会をはじめ、町や地元地区、生活や就労を支援した企業などから、多数の関係者が出席。会場のテーブルにはウクライナ人の母親らが「感謝の気持ちを伝えたい」と2日がかりで腕を振るった料理が所狭しと並び、参加者の笑顔を誘った。
互いに贈り物や言葉を交わす場面では、感極まり抱擁したり涙を流したりする姿もあった。スタシウク・ディナさん(36)は「あなたの全てに感謝します」と日本語で話し、「日本でこんなにもたくさんの素敵な人と知り合うことができるとは思っていなかった。帰国がうれしい反面、寂しい思いもある」と複雑な胸中を語った。
また、クズニェツォバ・カテリーナさん(19)は「家族が増えたような気持ち。たくさんもらった思い出の品を部屋に飾り、毎日眺めながら日本での生活を思い出したい」と話した。
禅道会首席師範の小沢隆さんは「本国の情勢を考えれば安全な状況とは言えず、できるなら日本に居てほしいが、離れて暮らす家族を思う気持ちは止めることができない。身に危険を感じるようならば再び日本に戻って来られるよう、今後も連絡を取り合っていく」と力を込めた。
◎写真説明:小沢さんにケーキや寄せ書きを贈る