アユの友釣り解禁に向け、下伊那漁業協同組合(下島保徳組合長)=飯田市松尾明=は12日、天竜川でアユの稚魚の放流を始めた。5月中旬までに支流を含めて約5・45トンを放つ。
初日は組合の役員約10人が参加し、天竜川本流の弁天港や弁天橋付近で各100キロ、阿島橋―弁天橋間の桜堤防と伊久間堤防で各200キロの計600キロを放流した。
稚魚は琵琶湖産と静岡県浜松市の海産が中心。よりアユ釣りを楽しんでもらおうと、総量は例年に比べて増やしているという。
同市上郷飯沼の桜堤防では、トラック荷台の水槽からホースやバケツを使って10~13センチほどの稚魚を放った。
この日の水温は9度ほど。アユは元気に飛び跳ねながら川に入り、勢いよく泳いで水面に消えていった。
組合によると、今冬の降雪量が少なかったため、現在天竜川の水量は少なめ。水量が少ない状態が続くと、餌場も少なくなりアユの成長が遅れたり、縄張りが狭まって群れるため釣りにくくなるなどの影響があるという。
下島組合長は「アユの成育は今後の天候次第」とし、「昨年は川の流れが変わるほどの降水量でアユ釣りに大きな影響が出た。今年は好天が続いてほしい」と話していた。
泰阜ダムの建設前は、天然アユが太平洋から諏訪湖まで遡上(そじょう)した記録があるが、現在は放流に頼っている。
◎写真説明:アユ稚魚を放流する組合員(飯田市上郷飯沼の桜堤防)