豊丘村神稲の仲平淳司さん(60)はこのほど、ミドリシジミの仲間キリシマミドリシジミが天龍村に生息しているのを確認した。県内では1978年に天龍村坂部と南信濃木沢で2件が報告されたのみ。「県内ではほぼ見られなかったチョウ。大発見だ」と話している。
キリシマミドリシジミは、山地で生息し常緑のカシの葉を食べるチョウ。前翅長(ぜんしちょう)(片側の羽の長さ)が約2センチでオスは表が金属光沢のある黄緑色の羽、メスは褐色の中に青い斑紋がある。成虫は年1回発生し7月上旬から見られる。本州、四国、九州などで生息し、近隣では浜松市水窪周辺で生息してる。
仲平さんは10年ほど前から、毎年冬に各地でキリシマミドリシジミの卵を探してきた。水窪で生息域が広がっていたことから「天龍村にもあるのではないか」と調べたところ平岡で卵を発見。採取して飼育したところ、5月に羽化し、キリシマミドリシジミだと確認できた。
キリシマミドリシジミは、高さ1メートルほどの若いアカガシなどに卵を産むという。仲平さんは「間伐して手入れした森林内に条件に合う木がたくさん見つかった。卵は発見しただけでも100個あり、すでに定着していたのかもしれない」と話した。近く標本を作り、近隣のチョウ研究者やグループに報告する予定だ。
◎写真説明:チョウを羽化させた仲平さん