県や南信州広域連合などでつくる「南信州くらし応援隊」は22、23の両日、飯田下伊那地域への移住を検討している人を対象にした体験ツアーを同地域一帯で開いた。中京圏を中心に20代から80代までの11人が参加。水引やそば打ちなどを体験するとともに、先輩移住者から南信州の暮らしと魅力について話を聞いた。
ツアーはUターン、Iターンを促進する県の事業の一環で、今年で3回目になる。
初日はかざこし子どもの森公園(飯田市丸山町)でダッチオーブンを使った野外調理を体験。松川町産のリンゴや豊丘村産のサツマイモをアルミホイルに包んで焼き、地元の味を堪能した。
30年前に阿智村浪合に移住した木工職人の水上雅彦さんや、売木、豊丘、喬木村の地域おこし協力隊員らと交流。住んで分かった南信州の魅力や不便だと感じる部分、周囲との人間関係など、先輩移住者の率直な体験談を聞いた。
水上さんは住居選びのポイントや地元住民との接し方などについてアドバイス。「しっかり見極めて素晴らしい第二の人生を送って」と伝えた。
結婚後に長野県内への移住を検討している名古屋市の男女は「名古屋に近い飯伊は有力候補。インターネットだけでは分からない現地の雰囲気や地元の人の人柄がわかった」と話していた。
参加者らはこの後、市内の農家宅に宿泊し、農家民泊を体験。2日目は西部、南部、北部の3つのコース別に現地を視察した。
阿智村の協働活動推進課定住促進係の原崇久さん(29)は「相談会やツアーをきっかけに村に移住し、地域おこし協力隊員として働いている人もいる」とし、「実際に見て体験して気に入ってくれればうれしい。観光とは違う目線で地域を見て、まずは何度も村を訪れてくれるようになれば」と期待を寄せた。
◎写真説明:焼りんごや焼き芋を堪能する参加者