1961(昭和36)年の「三六災害」で、大西山の崩落により42人が犠牲になった大鹿村で29日、60年の節目となる慰霊祭が開かれた。当時を知る住民や遺族、役場職員が参列し、記憶を風化させないと誓い合った。
犠牲者への慰霊の思いを込めて建立した「大西観音菩薩」を管理する大西観音管理組合(野牧勲組合長)が主催。被害や当時を生きた人々の思いを風化させないように―と毎年同所で行っている。
観音は三六災害から30年の1991年に村民有志らが建立。犠牲者の冥福と、郷土の発展・平和への願いを込めている。
参列者らは読経に合わせ、1人ずつ焼香。大西山と観音に向けて手を合わせた。
村内では61年6月29日午前9時過ぎ、集中豪雨のため大西山が高さ約450メートル、幅約500メートルにわたって崩壊し、山すそを流れる小渋川に大量の土砂が崩落。およそ320万立方メートルの土砂がふもとの集落を直撃した。
熊谷英俊村長は「60年の節目に、村民の防災意識を高める機会としたい」として協力を呼び掛けた。野牧組合長は「今年も皆で集まって犠牲者をしのぶことができてよかった」とし「観音様を見ることで、当時のことを思い出す人も多い。若い世代に組合に入ってもらって、災害の記録や人々の思いを後世に伝えていってほしい」と話していた。
◎写真説明:1人ずつ焼香し、手を合わせた