売木村の暮らしぶりや魅力をたくさんの人に伝えたい―。愛知県豊田市から山村留学し、売木小学校に通う6年生の岩井穂佳さん(12)と、村集落支援員で創作絵本作家の愛芽(うめ)さんが、村の自然や風習、食文化などを題材にした「ご当地かるた」の制作を進めている。
「低学年の時から国語やかるたが好きだった」という岩井さんは山村留学を始めた昨年、村の暮らしの中で感じたことをかるたで表現。読み札の文言から絵札まで、全てを一人で手掛けた。
愛芽さんは、支援員の活動として村の暮らしぶりや昔ながらの知恵などを伝えるかるたを構想しており、岩井さんのかるたを目にして「思いは同じ。一緒につくりたい」と声を掛け、共同制作がスタートした。
読み札は、岩井さんが作ったものをベースに2人で練り直した他、村史をひもときながら伝えたいことをピックアップした。
そんな中で生れた「ていごろう 淵で河童に ばかされる」は岩井さん一番のお気に入り。「村史に河童が出てくるとは思わなかった」といい、愛芽さんが手掛けた絵札でも、河童の絵は岩井さんが描いた。かるたを入れる箱の表紙絵にも、読み札を手にする河童が登場する。
「売木村は自然豊かで人も優しい。豊田に戻った時には、かるたを見てもらい『売木ってこんなところだったよ』と伝えたい」と岩井さん。愛芽さんは「村外の人には村の魅力を発信し、村内の人には村の暮らしを伝え受け継ぐ資料として、生かしてもらえたら」と期待を寄せた。
かるたは来年2月下旬に村で開く文芸祭でお披露目し、販売を始める計画。
◎写真説明:かるたの原稿を見つめる岩井さんと愛芽さん