来年で三六災から来年半世紀、飯田で防災シンポジウム

地域の話題

[ 2010年 10月 9日 土曜日 13時49分 ]

 伊那谷に甚大な豪雨被害をもたらした1961(昭和36)年の「三六災害」から来年で50年を迎えるのを前に、自然災害の脅威を振り返り、教訓に基づく今後の備えなどについて考える防災シンポジウムが7日、飯田市高羽町の飯田人形劇場で開かれた。県砂防ボランティア協会南信支部(尾坂寿夫支部長)が主催し、支部会員や一般住民ら200人余が参加。講演や討論会を通じて、災害伝承のあり方や災害時の心構えなどに思いをめぐらせた。

 土石流などの発生機構や治山工学を専門とする信州大学名誉教授の北澤秋司さんは基調講演で、三六災害や県内の災害事例を紹介。それぞれの特徴や被害要因などの検証を基に「幾多の災害を教訓とすべき」と呼び掛けた。

 特別講演した静岡県伊豆市長の菊池豊さんは元陸上自衛官の経験を踏まえ「災害発生時は初動対応が大事」と強調。「普段準備できることはすべてしておくことが早く動けるコツ」と話し、同市が危機管理対応に注力している現状を伝えた。

 討論会では、北澤さんがコーディネーターを担当し、パネリストは菊池市長のほか、三六災害を経験した前大鹿村長の中川豊さん、2000年に豪雨に見舞われた根羽村の振興課長の大久保憲一さんら「災害体験者」5人が務めた。

 中川さんは半世紀前の状況を振り返り「災害時の混乱下では、いかに情報を正しく発信、受信できるかが重要」と指摘。被災時の様子や教訓などを長期的に発信、伝承する重要性も議論され「多くの犠牲の上に治水や砂防事業が進められ、現在は安全な場所になっていることもある。それらの歴史も忘れずに発信することが大事では」などの提言があった。

 砂防えん堤などハード施設の有益性を指摘する意見も相次いだ。大久保さんは自宅前の河川に設置された砂防ダムが土石流を食い止め、下流域を守ったことを伝え「必要なハードは整備すべき」との見解を示した。中川さんも「公共事業が害のように言われる向きがあるが、なければ住民の生命、財産が守れない」と話した。

 1995年に県北部を襲った豪雨災害時の小谷村長だった郷津久男さんは、住民間の結び付きが災害対応に役立つことを強調。「小谷は豪雪地帯で、日ごろから集落内で連帯感や協力態勢の下地が醸成されていた。地元民による危険個所の把握も役立った」と振り返った。

 開会あいさつで尾坂支部長は「自然災害は予想を超える被害をもたらす。住民もいつ、どこで、どのような災害に遭うか予想できない。行政と住民が意識を共有し、一体となって日ごろの防災に努めることが大事」と呼び掛けた。飯田市の牧野光朗市長は近年の異常気象を憂慮し「来年は三六災から50年の節目。安心、安全の確保のため、どのような役割が果たせるかを考えていきたい」と話していた。

  

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