伊那谷地名研究会(原董会長、会員95人)は22日、発足20周年記念大会を飯田市高羽町の飯田人形劇場で開いた。日本地名研究所の金田久璋所長が記念講演。20年間の活動を振り返り、今後の活動に向けて思いを新たにした。
同会は、地域の研究者の間で地名研究の必要性が叫ばれたことを背景に、2001年発足。伊那民俗学研究所の1部門としてスタートし、05年に独立した。
「地名研究を通して地域の学術研究を行い、地域の自然・歴史・文化を正しく後世に伝え遺す」ことを目標とし、会員の研究発表やフィールドワーク、シンポジウム、本紙での地名コラム連載などを行っている。
節目の年に活動の初心に立ち返り、これまでの成果や資料をどのように生かし、地域に広めていくか考えようと、記念大会を開催。来賓や会員ら約30人が参加した。
冒頭、あいさつに立った原会長は、今年を「令和時代の活動を築く大切な時」とし、「地名はどのような文献史料に勝る、地域文化の伝導体。さらなる地名研究活動への眼差しを広め、ご指導、ご協力いただけたら」と語った。
記念講演では、金田所長が「民俗信仰と地名研究のよもやま話」と題して、自身の取り組む民俗信仰に関する地名の研究活動を紹介した。
全国各地に多数分布する信仰地名で、荒唐無稽な民俗語源説が横行していることを指摘。各地の資料や民俗を比較検討して、普遍的・客観的な視点を持つ必要性を挙げた。
「地名研究をする人は少なく、恣意的に理解しがち。伝承だけを頼りにせず、充分に論証してほしい」とし、「伊那谷地名研究会は、全国屈指の地名研究活動をしている。確実に一歩ずつ、活動を続けていって」と呼び掛けていた。
◎写真説明:伊那谷地名研究会の20周年記念大会