飯田市千代の棚田百選「よこね田んぼ」で6日、よこね田んぼ保全委員会(川手重光会長)とボランティアなど約140人が一斉に稲刈り作業を行った。昨年から導入した田んぼのオーナー家族も参加。稲刈りの後には収穫祭を開き、地元産の野菜や肉、よこね田んぼの米を使ったおはぎなどをほおばり、実りの秋を喜び合った。
よこね田んぼは芋平地籍に広がる約3ヘクタールの棚田。昔ながらの棚田を後世に残そうと保全委員会が管理を行っている。地権者の高齢化対策として昨年度からはオーナー制度を導入。今年は個人12組、法人4組から申し込みがあった。
前日までの雨の影響で田んぼの泥はぬかるみ、参加者は泥に足をとられないよう注意を払いながら、鎌を握って稲を刈り取り。子どもたちも泥まみれになりながら作業に励んだ。
子どもたちに生き物とご飯の大切さを知ってもらいたい―と個人オーナーになった内山友美さん(36)=静岡県浜松市=は、家族5人で初めての稲刈りに挑戦。「いつもスーパーで買うお米ができるまでに大変な苦労があることを知った。子どもたちも畦塗りから続く一連の農作業を体験し、ご飯粒を残さなくなった」と話した。
札幌市を中心に美容室を展開する「e―スタイル北海道」の伊東陽子社長(68)=札幌市=は、個人オーナーの娘に誘われ、よこね田んぼを訪問。棚田の風景に一目ぼれし「棚田の風景を後世に残したい」と企業オーナーになった。「北海道もお米が美味しいが、米作りはほぼ機械化しており環境も全く違う。伝統的な米作りの魅力を伝えていってほしい」と語り、娘夫婦や孫らとともに作業に汗を流していた。
稲刈り作業後には、先月開通したばかりの展望台までの遊歩道のお披露目も行われ、ドローンを使った記念撮影を楽しんだ。
作業を見守った市地域おこし協力隊の上原祐二さん(46)は「個人・企業ともに昨年からオーナー数が増えた。今後も積極的な情報発信を続けていきたい」と力を込めた。