飯田市遠山郷(上村、南信濃)の遠山森林鉄道の一部復活を目指して活動する「夢をつなごう遠山森林鉄道の会」(前沢憲道会長)は22日、南信濃の旧木沢小学校などで、遠山森林鉄道・林業遺産認定1周年記念イベントを開いた。地域住民をはじめ県内外の森林鉄道ファンなど50人余が参加。講演や対談などを通じて森林鉄道の歴史を改めて学ぶとともに、地域活性化に生かす方法を探った。
講演会には東京大学の酒井秀夫名誉教授(森林利用学)、対談には遠山森林鉄道で働いた人々の記録集「遠山」の著者、片岡俊夫さんが参加。林業遺産認定に関わった両氏が花を添えた。
酒井さんは、全国各地の森林鉄道の歴史や現在の活用事例などを紹介しながら「過去をしっかり勉強しなければ、未来は開けない」と強調。また、路線のサイクリングロードとしての活用策なども示唆した。
続く対談では、片岡さんが森林鉄道や、営林署職員など関わる人々らの写真を紹介。懐かしい写真を前に、保線員だった原田広明さん(84)らが当時を語った。
会場からも多くの思い出話が上がり、片岡さんは「地元の人だからこそできる証言や資料を集め、保存してみては」と提案した。
前沢会長は「かつて山をなりわいとして多くの人が暮らした地域を、再び山で活性化することができたら」と期待を寄せた。
遠山森林鉄道は国有林の搬出用に整備され、南信濃の梨元を起点に南アルプスの麓の北又渡、大沢渡までの総延長30・5キロで敷設。路線一帯の橋りょうや石積み擁壁などの遺構郡をはじめ、旧木沢小学などが昨年林業遺産に登録された。認定にあたっては、保存活動が遠山森林鉄道を中心に、住民主導で行われている点も評価された。
◎写真説明:懐かしい写真を前に当時を語り合う