阿南町新野の国道151号線沿いにある大村湖の堤で、黄色鮮やかなニッコウキスゲが咲き並び、ドライバーらの目を引いている。
大村湖周辺は天然記念物のハナノキや希少植物のササユリなどが自生する。ニッコウキスゲは希少植物ではないものの、高山性のため飯田下伊那地域で見ることができるのは新野地区だけ。毎年開花期には多くの人が観賞に訪れる。
これら貴重な植物を守ろうと、地元住民らでつくる「殿林の湿原を守る会」(田島英征会長)が中心となり保護活動に注力。近くには地元の阿南第二中学の学校林があることから、中学生らも積極的に活動に加わっている。同湖堤のニッコウキスゲも生徒らが定植した。
国道151号を飯田市から新野方面に進むと、同湖手前の左側斜面にもニッコウキスゲが群生。守る会の田島会長(78)によると、「毎年日当たりの良い大村湖が一足早く咲く。斜面のものは16日頃に見頃を迎えるのでは」という。
また、近くでは県の絶滅危惧種に指定されるミカワバイケイソウの開花が5年ぶりに確認できたといい、「ニッコウキスゲと一緒に楽しんでもらえたら」と話した。
一方で、昨年はニッコウキスゲのつぼみが人の手で摘み取られる被害があった。田島さんは「貴重な植物を温かく見守ってほしい」と呼び掛ける。
◎写真説明:大村湖の堤に咲くニッコウキスゲ