飯田市が吾妻町と東和町に設ける環状交差点「ラウンドアバウト」が本年度の「グッドデザイン賞」を受賞した。市は受賞の証で認知度もある「Gマーク」の活用を含め、ラウンドアバウトの情報発信に役立てる。
同賞は公益財団法人日本デザイン振興会が主催し、1957(昭和32)年に創設された。本年度は応募4789件のうち、1353件が受賞。市は関係者らの推奨も受け、今回初めて応募した。
市は吾妻町の環状交差点(通称・ロータリー)に加え、2013年2月に東和町の県道と市道の5差路交差点をラウンドアバウト化。速度抑制に伴う事故の防止や渋滞解消、環境負荷の軽減などが狙いで、信号機からの切り替えは全国初として注目された。市地域計画課によると、供用開始後に重大事故は起きていない。
審査委員らは、ラウンドアバウトそのものの形状や機能だけでなく、一帯の景観やまちづくりにおけるデザインにも着目。「歩道や周辺の公園を含めたトータルデザインを実施することで、殺伐とした印象を与えがちな交差点を心地よい景観に置き換えることに貢献している」などと評価した。
同課は「今回の受賞により、ラウンドアバウトが『よいデザイン』であることを広く伝えることができ、受賞展への参加などを通じての情報発信も期待できる」と指摘。今月下旬に軽井沢町で開かれる「ラウンドアバウトサミット」でもアピールを見込む。Gマークも「価値や認知度は高い」ととらえ、例えば現地の案内看板や関連啓発物などへの積極的な活用も検討していく。
ラウンドアバウトは14年の改正道交法で「環状交差点」に正式に位置付けられ、同課によると、7月現在で28都府県の75カ所に設置されている。
市内では、りんご並木の「三連蔵」もグッドデザイン賞を受けているという。