県立阿南病院は今月から、売木村国保直営診療所でオンライン診療を開始した。田中雅人院長が11日の拡大版南信州地域振興会議で明らかにした。
一般的なオンライン診療は、患者自身がスマホやタブレットなどを操作して医師の診療を受けるが、阿南病院の方式では患者自身の操作が必要ない。診療所と阿南病院をインターネット回線でつなぎ、患者のそばにいる看護師が機器を操作する。患者は画面を通じて病院にいる医師から診察を受ける。
売木村の同診療所は昨年3月に村雇用の常勤医師が退職し、4月から阿南病院の医師1人を週1回派遣して診療を行っている。
「診療日を週2回に増やしてほしい」との村側の要望を受け、医師の負担軽減を図りながらも村の要望に応えようと対面、オンラインを1度ずつ行う週2回診療を検討してきた。
今月9日に初回のテストを行い、5人が受診。「トラブルなく順調にできた」とした。いずれは、報道機関などにも公開する予定。
田中院長は「自治体設置の診療所では医師の確保が常に課題になる。オンライン診療のノウハウが確立できれば、他の診療所の医師が不在になった場合にも応用できるのでは」と期待した。
阿南病院は、施設医を務める高齢者施設でもオンライン診療の可能性を探り、施設と協議を進めている。