新型コロナウイルスの第7波による感染者急増で、県飯田保健所(飯田市追手町)の松岡裕之所長は「感染のサイクルが早まっている」とみる。置き換わりが進むオミクロン株の派生型「BA・5」の特徴については「潜伏期間が短い」と指摘。ウイルスを受け入れてから次の人に感染することができる時間は36時間程度に短縮しており、重症化しやすいとされる高齢者への感染拡大を見据えて警鐘を鳴らしている。
2年半前の初期の頃だと5日ほどだったという感染のサイクルは、置き換わりが進むにつれて短縮の傾向にある。
保健所も対応しきれない状況にあるといい、感染者と診断された人を迅速に適切な療養へとつなぐ狙いで、今月末をめどに対応方針を変更する予定。保健所からの連絡について「入院が必要」「入院不要だが、直接の聞き取りが必要」となった人は当日または翌日までに保健所から連絡があり、それ以外の人は診断の翌日までに県健康観察センターからショートメッセージサービス(SMS)で連絡することになる。SMSが使用できない人は電話連絡となる。
自宅療養について、療養期間は発症日から10日間に設定。外出せず、家の中でも同居する人とは生活空間を分けるよう求め、療養中の食材は近親者などへ支援を求めるよう要請。市町村ごとの買い物支援制度を活用することも呼び掛ける。
濃厚接触者となった同居人に発熱などの症状がある場合、検査を省略し医師の判断で感染者とみなす「みなし陽性」にも言及。急増に伴って発熱外来がひっ迫している現状を踏まえ「医療機関の負担や検査待ちを減らすことができる」と期待する。
松岡所長によると、県は運用開始に向けて検討を進めている。受診や検査をしないまま医師の判断で「擬似症患者」とみなして保健所へ届け出る。若年層で症状が比較的軽いケースを想定。重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患がある場合はみなし陽性とせず、医療機関を受診して必要な医療につなげる。「擬似症患者とみなすことで自己負担が生じるといった課題はあるが、医療への負荷は軽減される」と話した。
第7波について、昨夏の第5波と同じ時期にピークを迎えると予想。終息については「単なる風邪の一つだと思えるときがコロナの終息で、ウイルスがなくなることはない」とした。
◎写真説明:飯田保健所の松岡所長