豊丘村のリニア中央新幹線伊那山地トンネル新設工事の戸中・壬生沢工区(約6・6キロ)で8日午前0時15分ごろ、トンネル内で作業をしていた男性作業員が後退してきたバックホーに足をひかれ、すねの骨を折るなど重傷を負った。豊丘村内の伊那山地トンネル工事での表立った労災事故は4件目となる。JR東海は同工区の工事を休止。原因を究明し、再発防止策をとった上で再開する見通し。
飯田署によると、事故は斜坑と本坑の交差部付近で発生。掘削作業をしていたバックホーが後退した際、近くにいた同村神稲の建設作業員、平蔵英勝さん(55)の足をひいた。平蔵さんは飯田市内の病院に搬送され、命に別条はないという。
同工区では昨年6月末、戸中非常口から斜坑(延長約980メートル)の掘削工事を始め、今年7月上旬に完了。現在は本坑の掘削に向けた準備を進めている。
豊丘村内のリニア伊那山地トンネル工事では、坂島工区で昨年11月と今年の3、4月に作業員がけがを負う労災事故が発生。11月、3月の事故は軽傷だったものの、4月の事故では敷鉄板とつり治具の間に手をはさんだ作業員が指の骨を折るなど重傷を負った。
4月の事故を受けてJR東海は同工区の工事を休止。専任の安全担当者を置くなどの再発防止策を実施した上で、6月に工事を再開していた。
下平喜隆村長は「けがをされた方の一日も早い回復を願う。事故の原因をしっかりと究明し、早期に工事を再開してもらいたい。工期が延びると村民への影響も長く大きくなってしまう。安全対策を徹底し、順調に工事を進めてほしい」と話した。
戸中工区では昨年11月、作業員1人がコンクリート吹き付け用の機械に左手薬指を挟み、軽傷を負っている。
◎写真説明:伊那山地トンネル戸中非常口ヤード