高森町吉田にある国指定の重要文化財「竹ノ内家住宅」を火災から守るための初めての合同消防訓練が27日、同地であった。同地区を管轄する高森町消防団第2分団と高森消防暑、竹ノ内家当主ら約20人が参加。地域の文化財保護への意識を高めた。
竹ノ内家は1799(寛政11)年の建築。伊那谷における代表的な本棟造り住宅として1973(昭和48)年、重要文化財に指定された。町で文化財保護を目的とした消防訓練を行うは初めて。建物の立ち入り検査は21日に済ませ、消防訓練は「文化財防火デー」(26日)をにらんで実施した。
訓練は出火連絡を受けた想定で消防団が現場付近の道路に交通規制をかけ、2台の消防車が現場に駆けつけるところから始まった。同住宅は河岸段丘上に立地し、周辺は梨畑や田園が広がる。道路幅が狭く水利に恵まれない条件の中で、本部や機関への伝令、機関操作、ポンプ圧力の確認、中継準備などを行い、住宅南側付近の空き地で約1分間の放水訓練を行った。
終了後、高森消防署の消防司令が訓示。「文化財の火災は外からの火が一番怖い。それを守っていくには相当のエネルギーがいる。地区の誇りをつないでいくために、地域ぐるみでの防火が大切」と述べた。
「火の気だけは気を付けているが、外からの火に対する不安が常にある」と話す竹ノ内家当主。「団員のきびきびした行動を見て、今まで以上に防火に努めたい」と決意を語った。
文化財防火デーに合わせた消防訓練はこのほか、26日に飯田市の旧小笠原家書院、27日に泰阜村の金野諏訪社でも行われた。