昨年6月の喬木村議選(定員12)の欠員2を補う再選挙は18日告示され、新人で農業の松村光洋氏(63)=無所属、阿島=のみが立候補し、無投票で初当選した。他にも出馬や候補擁立を目指す動きはあったが、具体化せず。夜間・休日議会の導入など全国的に注目される議会改革に取り組んできた村議会の定数割れは解消されなかった。
議会は2017年の村議選が無投票になったことをきっかけに改革に着手。本業との兼業で議員になりやすくすることで若い世代の参画を狙い、夜間・休日議会を導入した。
20年には報酬月額を14万3000円から15万円に引き上げ、昨年3月には村議選への議論を活発化するために議員全員が進退を表明するなど試みたが、前回選の立候補者は10人にとどまった。
再選挙に向け、各議員は候補の擁立に動いたものの、欠員2を全て補うことはできなかった。後藤章人議長は10人ほどに出馬を打診したが、松村氏を除いた全員に断られたという。「地区から代表を出そうとするコミュニティーの力が弱まっている」と危惧するとともに、「改革が全国的に注目された結果、出馬へのハードルが上がってしまった可能性もある」と分析した。
2度の定数割れという結果を受け、後藤議長は「改革が村民の方を向いていなかった」。定数削減も含め見直しを行っていく考えで、「夜間・休日議会に固執するのではなく柔軟に対応したい」と話した。
一方、初当選の松村氏は「夜間・休日議会を本当に村民が望んでいたかといえば違うと思う」と指摘。56歳以下の議員の報酬を引き上げた東筑摩郡生坂村の事例を挙げ、「本業との両立よりも、若い人が議員一本で生活できるようにした方がいいと感じている」と話した。
現在の定数12については「今の村を維持していくのに最低限の人数」とし、「定数の削減よりも議員になろうとする人を増やすための議論をするべき」との考えを示した。
◎写真説明:初当選を決め、支援者と握手を交わす松村氏(右)