19日に告示された平谷村議選は定数と同じ7人が立候補し、無投票で当選が決まった。無投票は前回の2018年に続き2回連続。当選者の内訳は現職5人、新人2人で、いずれも無所属の60代以上の男性だった。
村議会は昨年12月、議員定数を8から7に削減する条例改正案を可決し、今回が初適用だった。
同村の人口は1日現在で県内最少の386人。無投票について、現職議員の一人は「400人いない中で7人の候補を出すのは難しく、むしろ7人出ただけ良かったと思う」と話した。若手がいない状況について別の現職議員は「議員報酬が安く、仕事の両立も難しく、現役を引退したひとなどなり手が限られてしまう」とした。
今回も当選者は全員男性で、女性はいなかった。同村ではこれまで女性が村議になったことがない。議会の活性化に向けて女性議員誕生を望む声もあり、女性を推す動きもあったが、家庭の事情などで断念し実現しなかった。
同村議選では血縁に頼る水面下での選挙が行われていたが、顔や主張が分かる開かれた選挙にするため、前回選で初めてポスターを掲示。今回も全立候補者が掲示したが、第一声や遊説はなかった。
3期目の当選となった西川範明さん(67)は昨年行った議会改革アンケートで、若者と議会との間に距離を感じたという。「村の将来を考えてもらうためにも、主張を述べ議論し合う選挙が必要」とし、「交流の場を設けるなど、若者や女性に興味を持ってもらえる議会にしていきたい」と話した。
選挙会は25日に開き、当選証書を交付する。
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「村の観光盛り上げたい」
平谷村議選
新人の齋藤政俊さん
平谷村議選で初当選した齋藤政俊さん(65)は、4期務めて今回で引退した義理の兄、土田米男さん(72)の後継として出馬した。長年にわたり村の観光施設に勤めていたことから思いが強く、「観光施設は村の核。経営を立て直し、観光立村平谷を盛り上げたい」と意欲を語った。
伊那市出身で、ゴルフ場の平谷カントリークラブや、信州平谷温泉ひまわりの湯に勤務した。ひまわりの湯は新型コロナウや燃料高騰の影響もあり、厳しい経営状況が続く。「今まで具体策がなかった」とし、「住民の声や現場の力を大事にしながら、実践に向け手足となって働きたい」と強調した。
人口減少にも触れ、「住んでもらうためには仕事が必要。雇用の場をつくるためにも基幹産業である観光施設を立て直しは重要」。「近年は道の駅が目的地化している」とも語り、「南信州の入口として、魅力を発信できる拠点にしたい」と述べた。
◎写真説明:初当選の齋藤さん