安倍、菅、岸田内閣と続く約9年間の与党の政権運営の是非を問う第49回衆議院議員総選挙は、あす31日に投票が行われ、即日開票される。新型コロナウイルス対策と経済政策などが主な争点。小選挙区の長野5区(定数1)では、前新の2候補が最終盤の訴えを展開している。
衆院選は2017年10月以来。14日の解散を受け、19日に公示された。定数は前回選から増減なしの465。小選挙区で289議席、比例代表で176議席を選ぶ。
長野5区では届け出順に、自民前職の宮下一郎氏(63)と立憲民主新人の曽我逸郎氏(65)の2人が立候補。全国的に立民を中心とする野党共闘が進んだことから同区でも与野党一対一の構図となり、伊那谷各地で激しい舌戦を展開してきた。
宮下氏は、公文書改ざんなど党への批判の声について「真摯に受け止めなければならない」としつつも、「自民党だから皆だめという乱暴な議論は受け入れられない」と強調。防災・減災対策や地方創生、東京一極集中の是正を主張する。
解散前から各地に設ける後援会組織の見直しと強化を行い、危機感を共有。SNSも積極的に活用して自身の訴えを発信してきた。選挙戦後半は遊説を軸にし、若者や子育て世代、無党派層への訴えを強化。票の掘り
起こしを図っている。
曽我氏は「自公政権下では、法人税減税や労働者派遣法など大企業に都合のいい政治が続いてきた」と批判し、政権交代が必要だと強調。農林業の一次産業の再生や伊那谷での持続可能な暮らしの実現、国民負担の是正を訴えてきた。
前回選後、4年間をかけて野党、市民との共闘を模索し、伊那谷全域で活動を展開。参院選などを通じて体制を整え、9月に市民団体と政策協定を結んで正式な統一候補に。後半戦も精力的に遊説や集会を重ね、無党派層への浸透を狙う。
2017年の前回選挙は自公が3分の2を維持する計313議席を獲得し、大勝した。5区は宮下氏と無所属だった曽我氏、希望の党新人の3人が立候補。得票数は宮下氏が9万1542票、曽我氏が4万8588票、希望新人が4万3425票だった。
衆院選公示日前日にあたる18日現在の選挙人名簿登録者数によると、長野5区の有権者は男性13万6361人、女性14万4421人の計28万782人となっている。
◎写真説明:熱気を帯びる候補の訴え