任期満了に伴う阿南町長選は24日に投開票され、現職の勝野一成氏(66)=無所属、新野=が、新人で前町議の石田仁志氏(64)=無所属、北條=に1515票の大差をつけて3選を果たした。投票率は67・63%で、選挙戦となった2007年を18・16ポイント下回った。
選挙戦は15年ぶり。昨年12月に勝野氏が不出馬を明らかにし、2月に石田氏が「町の先頭に立ち、課題解決に取り組みたい」と立候補を表明。支持者らによる出馬要請を受けて勝野氏が3月末に一転して立候補を表明し、現新一騎打ちの構図となった。
新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、両陣営とも集会は開かず、遊説を中心に政策を訴えた。
勝野氏は1989票を獲得した。選挙戦では「国や県への働き掛けにより、町内の背骨にあたる国県道の整備にめどが立った」と2期8年の実績を強調。3期目は「次の世代につながる町づくりに取り組む」とし、医療提供体制の充実、若者の定住推進に向けた住宅政策の拡充、農林業の振興による所得向上などを掲げて支持を広げた。
無投票で再選した2018年の前回選と同様、不出馬表明からの一転出馬となり、町民からは「出るなら最初から出てほしかった。意欲に疑問を感じる」などの批判も聞かれた。一方で「町のため、よく決断してくれた」と歓迎する声もあった。
石田氏は474票。人口減少を町の最大課題に挙げて「町への移住希望者を受け入れる体制の強化が必要」と主張。地域懇談会などを通じて行政と町民の情報共有を進める開かれた町政、時代の変化に敏感な町政の実現を訴えたが、浸透しなかった。
投票率は15年前に比べて18ポイント余り低下。新型コロナの影響もあって論戦を交わす場や、じっくりと主張に耳を傾けられる機会がなく、有権者が「選択」への関心を高めるに至らず、現職の評価が争点となった。
石田氏の議員辞職に伴い同日程で行われた町議補選(欠員1)は、新人の小澤亮子氏(49)=無所属、富草=が2012票を獲得し初当選した。投票率は67・65%。
◎写真説明:万歳で3選を喜ぶ勝野氏