飯田市の佐藤健市長は24日の市議会定例会あいさつで2022年度予算編成の基本方針に触れ、来年度を「コロナ禍を乗り越え、日常を取り戻す年」と位置付けた。充実した検査・医療体制の維持、地域経済の再生、市民のムトス活動の再興の3点を軸に、コロナ禍で停滞している状況から再び立ち上がるための施策を講じる姿勢を強調した。
来年度は総合計画「いいだ未来デザイン2028」の中期4年計画の2年目に当たる。総合計画に掲げる「目指すまちの姿」を実現するため、これまでに着手した事業の着実な推進を図るほか、新しい取り組みにも積極的にチャレンジする考えだ。
基本方針は、中期計画に掲げる13の基本目標ごとの計49項目を重点化した。
このうち経済再生では、過度の外部依存を見直し、地域外から稼いだ金をどれだけ地域内で循環させるかという「地域内経済循環」の観点が重要と指摘した。
エス・バードを活用した地域産業の高付加価値化の推進では、南信州・飯田産業センターの機能を充実し、工業技術試験研究所が認定試験所として国際的に公的に認められる機関となることを目指す。
中心市街地のにぎわい再生に向けたまちづくりでは、来年5月オープン予定の飯田駅前プラザ(仮称)の公共空間を新たな拠点と位置付け、関係団体と連携した取り組みを進める。
新文化会館の建設では、文化会館の利用団体や舞台芸術の有識者でつくる市民検討会議で基本理念の策定に向けた協議を重ねる考え。市民の意見を広く聞きながら検討を進めるとした。
長期的都市像「環境文化都市」を体現する取り組みの強化では、環境文化都市の理念の広がりに向けて「対話と実践を支える場」を構築する。
ゼロカーボンシティに向けた実践では、2030年までの目標設定を行い、具体的な実践を始める。災害時にも有効な小規模なエネルギーネットワーク「マイクログリッド」の実現を目指し電力会社、配電会社、電気販売会社と連携して取り組みを進めるとした。
リニア開通に備えた21世紀型まちづくりの推進では、リニア駅周辺整備に絡めて進めてきた各プロジェクトをいったん総括し、駅前広場の建築設計、魅力発信施設、2次交通、エネルギー、グリーンインフラなどの実装化に向けた体制の構築と具体的な検討を進めるとした。
デジタル化や先端技術活用推進に向けた研究と実装では、デジタル技術を活用した行政手続きへの変革(DX)を進め、市民の利便性向上に取り組む方針。
◎写真説明:冒頭あいさつする佐藤市長