飯田市の佐藤健市長は22日の市議会定例会本会議で、市長就任から2年が経過したことに言及し「新型コロナに多くの時間を割かざるを得ない2年間だった」と振り返った。一方で、財政見通しを示すなど「将来に向けた下ごしらえはできた」と指摘。「成果を上げなければならない課題は山積する」としながらも、基本姿勢の「対話と現場主義」で引き続き全力で市政運営に当たる決意を述べた。
当面の課題として信大の新学部誘致、文化会館の建て替え、リニア駅周辺整備などを挙げた。長年の地域課題となっていた南信運転免許センターに触れると、地元要望に基づいて「県方針が示されるところまでこぎ着けたことはこの2年間の成果の一つ」と強調した。
2023年度予算編成の基本方針は、時期を早めて庁内に提示した。23年度は総合計画中期4年間の3年目に当たり、全計画期間12年間の折り返しとなる。
20年の国勢調査で市の人口は9万8164人となり、初めて10万人を割った。国立社会保障・人口問題研究所の推計値を666人上回ったものの市人口ビジョンの目標値よりも334人少なく、若年層の女性の社会減が大きく影響する。
来年度予算編成に当たっては、改めて浮き彫りとなった課題に着目。若者や女性が住みたいまちへ「さまざまな分野の政策を検証することを第一の視点」とした。
地域課題となっている4年制大学の設置に絡めた大学のあるまちづくりも「大事な視点」と捉え、車を持たない学生の移動のための公共交通機関の充実、通信環境や日常生活の利便性向上、交流やにぎわいの場の創出、高等教育機関の地域との関わりの強化を例示した。
エネルギー価格が高騰する中、国際情勢の影響を受けにくい「足腰の強い社会を構築する転機」と捉え、地域経済循環の観点から食料・資源・エネルギーの地元調達、農林業の振興、エシカル消費の推進なども「将来を見据えて取り組む」との意向。ゼロカーボンシティーに向けた環境面も「横断的な視点として重要になる」と述べた。
◎写真説明:開会で市長あいさつ