飯田市の佐藤健市長は24日開会の市議会定例会で、信州大(本部・松本市)の情報系新学部誘致に言及した。リニア中央新幹線開業や三遠南信道全通に絡めた利点を指摘した上で「ナレッジリンク構想とも連動して新しい街をつくっていく可能性と、伸びしろにあふれた地域」と強調。将来を見据えた50年、100年の計で考えると「新学部をつくるのにふさわしい地」と加えた。
飯田下伊那地域には4年制大学がなく、長年の悲願となっている。佐藤市長は「4年制大学の空白地に新学部が設置されることで、県全体の均衡ある発展につながる」と期待を込めた。
誘致活動を進める一方で、「大学生や教員、関係者が『住みたい』『通いたい』と願うようなまちをつくる覚悟を持たなければならない」と語り、先頭に立って尽力する意向を示した。
新学部設置を巡り、南信州広域連合は地域への新学部設置のメリットを信大側に提示している。佐藤市長は「地域として精いっぱいの内容を示した」と述べ、具体的な内容については「大学内の候補地選定で重要な交渉事項であり、意思決定するまで非公表」とした。
生活困窮者自立支援金制度で支払い遅延と担当職員による立て替えがあったと13日に発表し、17日には議会の議決がないまま変更契約を締結していたことが明らかになった。相次ぐ事務処理のミスに、佐藤市長は「市役所全体の問題として重く受け止める」と述べ、改めて陳謝した。
コロナ禍の変化に触れると「日常を取り戻す歩みが進みつつある」との認識。コロナ禍を理由に中止や延期が常態化された社会から「この環境下でもできることを工夫して行うウィズコロナの社会へモードチェンジを図る」とした。
◎写真説明:定例会冒頭であいさつする佐藤市長