南信州広域連合がリニア時代に向けて整備を検討する「アリーナ機能を中心とした複合施設」で、飯田市は8日、スポーツアリーナの実現を含む構想案を市議会全員協議会に示した。市の考え方として今後、広域連合側に提示する。アリーナ機能を中心とした複合施設を巡っては、コロナ対応を優先する中で具体的な検討が先送りとなっていた。広域連合は市の考え方をたたき台にして検討を再開する見通し。
市は関係部局によるプロジェクトを立ち上げ、市の考え方として機能、規模、位置、複合機能を含めて整理。圏域全体の視点も踏まえた。
2020年に広域連合が示した構想「基本的な考え方」をより明確化した。市の考え方は、スポーツアリーナ機能や▽コロナ禍からの再興を支援する機能▽21世紀型まちづくりエリアにマッチした機能▽リニア開通や大学機能との融合を意識した機能▽持続可能な施設整備▽民間の柔軟な発想と資金の積極的活用―の6つを柱に据え、スポーツ振興政策の視点からターゲットを絞り込んだ。
既存施設と大規模アリーナの中間に、新設するスポーツアリーナを据え、地域密着の視点も重視した。床面積1382平方メートルの鼎体育館を基準に、県内にあるアリーナと規模や利用状況を比較。国体や高校総体が開催できる規模として、メインアリーナが1900平方メートル程度、サブアリーナが700~800平方メートル程度、客席数が1000席程度、専用駐車場が500台程度とみた。
設置場所は、リニア駅近くの開発可能な一団の土地への立地が最適―とした。リニア本線北側の座光寺の共和地区は、アリーナ機能を中心とした複合施設の候補地となっている。
アリーナで実現するスポーツ施策の方向性やビジネス性を考慮し、地域スポーツクラブの拠点から国体開催までを視野に入れると、一定程度のレベルの高い整備が必要と指摘した。
スポーツ文化の醸成や推進の方向性からアリーナに必要な機能と規模感を検討し、公設民営による事業成立を推察した。実現の可能性については先行事例を参考に、イニシャルコスト(約40億円)やランニングコスト(年間約1億円)の財政負担、運営主体となる事業者を検討課題に挙げた。
リニア開業までの社会情勢の変化や、信州大が開設を検討している新学部の誘致の動向についても今後の視点として捉えた。
広域連合の基本的考え方だと、新施設はアリーナ機能を中心とする複合施設をイメージ。コンベンション施設や屋内体育施設といった枠にとらわれず、圏域内外の施設と連携して方向性を実現する。事業主体となる公設公営方式は難しいとし、公設民営または民設民営方式で進めたいとする。