飯田市は3日、まちづくりの先進的な取り組みなどを対象にした「第38回ムトス飯田賞」を発表した。ヒマワリの種から作った油の販売収益で平和を支援することを目指す「平和の種プロジェクト実行委員会」と、児童養護施設の子どもと交流するボランティア団体「アップルサンタ」の2団体が受賞した。
8件の応募があり、ムトス飯田推進委員会(会長・佐藤健市長、塩澤哲夫座長)が審査、決定した。
平和の種プロジェクトはロシアの侵攻を受けるウクライナを支援する狙いで、昨年5月に始まった。種から作った油の収益を支援金に充てる計画で、賛同者に約35万粒を配布。1・6トンほどの種が集まった。
取り組みの輪は飯田下伊那地域をはじめ県内各地へと広がり、審査では波及性と適時性を評価。プロジェクトの堀本喜正委員長は「地域の協力があってこそ」と感謝した。
アップルサンタは2003年度に発足し、児童養護施設の子どもたちの交流活動に取り組む。首都圏の若者をホームステイで受け入れたり、リンゴの収穫など自然体験の機会を設けたりといった活動を継続。審査では「家族と暮らすことのできない子どもたちのプライバシーに配慮しながら、メンバー同士が支え合って長年活動している」と評価された。
会員数は56人。アップルサンタの岡部美紀代表は「応援しているということを子どもたちに伝えられたらとの思いで活動を続けている」と述べ、受賞を機に「現状を多くの人に知ってもらうきっかけにもなれば」とした。
塩澤座長は全体の審査を通じて「コロナ禍でも地道に活動している取り組みが印象的だった」と話した。
19日に飯田文化会館で開催する第60回市公民館大会の中で受賞団体を表彰する予定で、両団体による事例発表もある。
「ムトス」は「まさに~しようする」といった自発の意を表す。飯田賞はムトスの言葉にふさわしい活動や取り組みを行っている団体と個人の功績をたたえる狙いで、受賞者数は今回を含め80団体・2個人となった。
◎写真説明:発表を受けて喜びを語る関係者