施策展開するための指針となる飯田市の「地域経済活性化プログラム(活プロ)」で、市は2023年度の実行計画を策定した。製造業、農業、林業、観光、商業、起業・事業継続の六つの分野を柱に据え、分野横断の「地域経済循環・稼ぐ力」「人の流動化・人材育成」「デジタル化対応」の三つの視点を重ねながら持続可能で魅力的な産業づくりを進める。
市総合計画を実現するための分野別計画で、地域内外の事業者や消費者、産官学、金融などが共に取り組む行動計画に位置付ける。23年度版は図表や分析を活用することで戦略展開の見える化を図った。
物価高、原材料やエネルギー価格の上昇、リニア開業、大学のあるまちづくり、担い手の確保などを取り巻く課題と捉え、横断分野のうち地域経済循環分野では地域経済・産業動向研究のネットワーク化を図る考えで、地域経済循環を促進させる仕組みを研究する。
女性人材の力を活用した産業づくりの視点も重要になっているとして、人材関連では女性の人材活用や活躍の支援、学び直し支援、人材の誘導、起業支援を盛った。
製造業分野では地域産業の育成による高付加価値化支援や▽地域産業を支える人材の育成と確保支援▽地域の魅力ある製品のブランド化促進▽産業基盤強化による企業支援や立地・拡張の促進支援―を23年度の先導的事業に据えた。24年の目標値は、ネスク―イイダ取引成約金額が40億円、DX化ワーキンググループ参加登録企業数が30社、工業技術試験研究所の利用件数が3400件、企業誘致数が4社。
航空機電動化・次世代エアモビリティ勉強会事業としてセミナーの開催を計画し、市場動向や事業化の可能性に向けた意識啓発につなげる。
農業分野は担い手の確保、農地の集積・集約化の推進、産地の強化、地域循環型農業への転換を重点化。地域内で必要な資源を循環させる持続可能なシステムとして、地域循環型農業を推進する。24年の目標値として新規就農者数が30人、アプリによる農作業マッチング数が1000件、農業産出額が103億円、まちの八百屋システム登録者数が10店舗。
林業分野は森林経営管理事業による森林整備の推進、地域産材の利用促進、里山整備活動への支援などを盛り、24年の目標値は間伐面積が300ヘクタール、森林経営管理制度により森林間伐ができた面積が50ヘクタール、地域産材利用住宅数が30件。ウッドショックによる急激な価格高騰からは値下がり基調としつつ、木材需要は堅調とみた。
観光分野はインバウンド需要の増加を見込み、アフターコロナを見据えた観光誘客に力を入れるほか、天龍峡大橋「そらさんぽ」とパーキングエリア周辺の活用を通した滞在周遊観光を推進し、道の駅遠山郷の再整備を進める。