阿部守一知事の「知事との県民対話集会」が2日も飯田下伊那地域で行われ、飯田市や豊丘村ではリニア中央新幹線計画や大学誘致などを巡って首長や住民らと意見交換した。県内の全77市町村で開く計画で、飯伊は今回が初めて。2日間で5市町村を巡った。
阿部知事
4年制設置「方向性は共有」
飯田市は150人参加
阿部守一知事が市町村で住民と意見交換する「県民対話集会」が2日、飯田市のエス・バードで開かれた。「リニア中央新幹線の開業を見据えた大学のあるまちの共創」をテーマに、4年制大学や信大新学部の誘致といった地域課題と向き合った。
会場には約150人が集まった。
佐藤健市長は県内の4年制大学の分布を示し「この地域には4年制大学がなく、一定の人口がいる圏域で空白地帯」と指摘。4年制大学がないことが人材育成や企業の発展に大きな影響を及ぼしていると捉えた上で「県の均衡ある発展という視点でみれば大きな課題として認識してほしい」と投げ掛けた。
また信大新学部誘致を例に「この地域の子どもたちが暮らしながら4年制大学に通えるという選択肢ができる」とし、全国から若者が集まることによる経済効果や産業振興、企業誘致といった好影響も期待した。
阿部知事は「飯田下伊那地域に高等教育機関をつくるべきという方向性は共有する」と述べ、具体化に向けては「皆さんと対話をしながら考えたい」とした。
リニア開業に言及すると「この地域の転機はリニアの開通」と強調。リニアとセットで大学のあるまちづくりのコンセプトを打ち出していくことに「大きなチャンスがある」とみた。
信大新学部に触れると「地域間の取り合いは残念。どういう目的で新学部をつくるのかはっきりしない。信大が方向性を決めれば、県としてもしっかり応援していく」と語った。
南信運転免許センター(仮称)の建設に伴い、2023年度末をめどに閉館する方針の県飯田創造館について、利用者が存続を要望したのに対し、阿部知事は利用者にとって切実な重要課題と受け止めつつ「閉館せざるをえないのが今の状況」と説明。それぞれの活動継続について市町村と一緒に考えたいとした。
◎写真説明:エス・バードで開かれた対話集会