飯田署に併設する形で設置を検討している「南信運転免許センター」(仮称)を巡り、南信州広域連合は2月28日の議会全員協議会で、候補地について飯田署の現地建て替えが「最適」とし、県と県警に対して要望する方針を明らかにした。県側から提示された設置条件や、地域の将来構想との整合性などを総合的に判断する中で候補地を絞り込んだ。
飯田署と運転免許センターの設置場所として、現在の飯田署と、県設置の風越公園と飯田創造館を含めた隣接地を希望する。ただ進入路が比較的狭く、「車が集中した場合に問題が発生する可能性がある」と指摘。必要な敷地面積を確保するには風越公園と飯田創造館の敷地との調整が必要になるとした。
広域事務局によると、現在の用地面積は飯田署が約6700平方メートル、風越公園が約1万7100平方メートル。
県と県警に対する要望活動は3月にも行う予定で、設置場所のほか、風越公園の市への移管、老朽化する飯田創造館に関する協議について求めるとする。
運転免許センターを巡っては、2019年6月に開かれた南信州広域連合会議で、飯田署建て替えに合わせて同署に併設する―との県警方針を協議。当時の連合長は「前向きな提案」と歓迎し、他の13町村長からも異論はなかった。
その後、2020年12月の連合会議では、飯田署の現地建て替えを「最有力」としながらも議論が十分でなかったとして、他の候補地と比較検討した上で適地を決めることを確認。候補地の公募は行わない形で検討を重ねてきた。
候補地に必要な面積は1万5000平方メートル。うち建物の延べ床面積は7000平方メートルで、350台分の駐車場と署長宿舎の用地が必要となる。アクセス、取り付け道路の幅員が十分であることや▽公共交通の利便性が高い▽災害危険箇所などの指定地域でない▽市街地に近い―ことが主な要件。事業期間は、設計を含めて4年間を想定するが、設置の時期と場所は決まっていない。
現在の飯田署は1978(昭和53)年、同市小伝馬町に整備された。県警は、職員確保といった課題への対応を含め、老朽化している飯田署の建て替えに合わせて免許センターを併設する方法が現実的とした。
県内の運転免許センターは北信(長野市)、中南信(塩尻市)、東信(佐久市)の3カ所で、南信地方にはない。
運転免許センターの設置を前に、県警は運転免許証作成機1台を飯田署に導入。「ゴールド免許」を持つ優良運転者や高齢者講習を受けた70歳以上のドライバーに限り、同署で免許を即日交付できるようになった。運転免許証作成機の稼働によって一部で利便性が高まる一方、それ以外の免許保有者は依然不便を強いられている。