しあわせ信州移動知事室の一環で、飯田下伊那14市町村長との南信州地域戦略会議が28日に開かれた。新型コロナウイルスの感染症対策や産業支援、リニア・三遠南信道開通を見据えた地域づくりについて首長らが阿部守一知事と課題を共有した。
コロナ関連では、各市町村長からワクチン接種状況や水際対策、厳しい状況にある観光事業者などの支援、県独自の感染警戒レベルの運用見直しなどの話題が上った。
阿部知事は「第5波を乗り越えることができた」と市町村の協力に感謝した。第5波では感染者数が以前の波より大幅に多かったものの、医療体制の確保、検査態勢の充実、治療法の確立、ワクチン接種が進んだことによる重症者の減少など受け入れ態勢が改善したと報告。「感染警戒レベルの運用も見直す必要がある」とした。
簡易検査キット配布は県も実施するものの、国の指導で使用できるのは有症状者のみという制限がある。「市販キットが一般化している飯田市の取り組みを参考に、市町村と県が役割分担する対応を考えたい」とした。
ワクチン接種は、県内で国分科会の理想的な接種率を上回る状況にあると報告。ワクチン2回接種済みの人は感染リスクが10分の1程度になるという県のデータを紹介した。
社会経済活動の再開へ向け、イベントや会食の実施などへ協力を求める一方、年末年始は人流の注意喚起を検討しているとした。また「来年は飯田お練りまつり、ご開帳、御柱と大きな行事がある。再興への大きなチャンス。いい形で迎えたい」と協力を求めた。
リニア時代へ向けた地域づくりについては、飯田市の佐藤健市長が、広域的なビジョン策定と各ブロックごとの検討の方向を伝えるとともに、地域に4年制大学が必要だとして信州大学新学部誘致の取り組みを紹介。「中核に大学を据えて全体像を描きたい」とした。
阿部知事は「各検討の方向性をしっかりと共有して一緒に具体化を図りたい。地域が発展するには教育が大事だ」と理解を示した。
リニア開業への課題となる静岡県の対応については「民間が大部分を出資する事業で他の新幹線整備とは異なるが、政府がしっかり進める努力が必要だ」とした。
また、「リニアは夢のあるテーマだが、まだ描ききれていない部分がある。一緒にビジョンを作り、それに向かって住民とともに力を合わせて取り組んでいける体制をつくっていきたい」と述べた。
◎写真説明:市町村長とコロナ対応やリニア時代への地域づくりを語り合う