任期満了に伴う高森町長選は11日に告示され、現職1期目の壬生照玄氏(52)のみが立候補し、無投票で再選が決まった。無投票は2010年の選挙以降、4回連続。リニア中央新幹線の建設工事が飯田下伊那地域で本格化し、昨年12月には約6億円を投じる町営サッカー場の整備計画も浮上したが、今回も政策論争は起きなかった。
午後5時過ぎ。届け出が締め切られ、無投票で当選が決まると、支援者らが集まった自宅の隣政寺は拍手で包まれた。新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて報告会などは行わず、万歳三唱やだるまの目入れなどで祝った。
あいさつに立った壬生氏は「出馬表明から皆さんの支えがあり、町民の理解が進んだことで無投票当選という結果を得たと感じている」と感謝。「リニアや三遠南信道の開通を迎えるに当たり、加速的に進む人口減少をどう食い止めていくのか。行政主導だったまちづくりを町民主導にステップアップしていく。さらに町を元気にすることで南信州のリーダーにしたい」と力を込めた。
壬生氏は昨年11月の町議会臨時会で再選を目指し立候補することを表明。引き続き地域に愛着を持ち貢献しようとする「地域人材の育成」を柱に掲げた。リニア開業に向けては山吹区の天竜川沿いでの「かわまちづくり」事業や町営サッカー場整備を進めるのに合わせ、JR下平駅から山吹駅周辺での土地利用計画を策定するとした。
大東文化大を卒業後、1994(平成6)年に町職員となり、教育委員会事務局長や経営企画課長などを歴任。2018年の町長選に出馬し、無投票で初当選を果たした。
町長選を巡っては、対立候補の擁立を模索する一派もあったが具体化しなかった。4回連続の無投票に「町政への関心が薄れるのではないか」と危惧する関係者も。町内の70代男性は「誰が町長になるにせよ、5日間、町の将来を皆で考える機会がほしかった」と話した。
町選管は17日に選挙会を開いて当選人を確定し、壬生氏に当選証書を交付する。
壬生氏の初登庁は24日。
◎写真説明:再選を喜ぶ壬生氏