高森町は25日、ウクライナから同町への避難を希望している9人について、早ければ30日夜にも町に到着するとの見通しを示した。まずは町内の温泉宿泊施設「湯ケ洞」に滞在してもらい、コミュニケーションを確立。希望を聞き取ってその後の支援を行う。
受け入れを予定しているのは、総合格闘技団体「空手道禅道会」(総本部・飯田市上郷黒田)のウクライナ支部で空手を学んでいる3~19歳の会員6人とその母親3人の計9人。町によると、22日にポーランドの首都ワルシャワに到着し、現在はビザを申請中という。
日本政府が座席を確保する民間機での渡航の準備をしており、ビザが受給されれば29日に現地を出発。30日に成田国際空港に到着し、町が空港からバスで送迎する。
町と禅道会などでつくる人道支援プロジェクトチームは、25日に県国際交流課や南信州地域振興局をオブザーバーに迎え、受け入れについて協議。終了後に壬生照玄町長と禅道会主席師範のの小沢隆さん(61)=同町山吹=が会見し、現時点での計画を説明した。
計画では、9人には湯ケ洞に2週間程度滞在してもらい、町営住宅や民間アパートなど自立的生活が可能な住居に移る。通訳は飯田市在住のウクライナ系ロシア人会員が務める他、町が所有する携帯型の翻訳機も活用。生活費にはこれまで集めた募金の他、政府や日本財団の支援制度を活用し、避難の長期化に備えてさらなる募金や寄付も募っていく。
会見で壬生町長は「最終的には避難された皆さんの意見を聞きながらいろんな支援の準備を進めていく」と強調。避難が長期化した場合、就労先の確保など経済的に自立できるよう支援していく考えを示した。
小沢さんは「戦争による心の傷を癒して、日本に来て良かったと思えるサポートをしたい」と話した。
◎写真説明:町役場で開かれたプロジェクトチームの会議