県南信州地域振興局は19日、県の「地域発元気づくり支援金」の助成で2018年度に実施された優良事業の表彰式を県飯田合同庁舎で開いた。今後のモデルとなる8団体の事業を表彰。最高賞の知事賞は天竜川和船文化保存会による和船造船技術の伝承事業で、「天竜川の舟下りや和船が多くの人に認識されるきっかけになった」と評価した。
事業採択した84件(助成金総額約1億360万円)の中から、着眼点や他地域への波及効果などで今後の地域づくりのモデルとなる優良7事業(知事賞1・地域振興局長賞6)と、アイデアや話題性に富んだ地域振興局特別賞1事業を選んだ。
知事賞の同保存会は、天竜川で運行する和船の造船技術を後世に残すことを目的に、飯田市の舟下り運行会社2社などでつくる。
18年度は後継者の育成が急務となっている天竜川和船の造船について、若い船頭や高校生と共同で行い次世代への伝承につなげた。また、米国人船大工を招いて和船の共同制作やシンポジウム、見学会などを開催。企業や地域の枠を超え、天竜川を核とする観光振興を推進する機運を高めた。
杉本忠会長は「大変名誉ある賞をいただくことができた」と謝辞。「本年度は写真しか現存していないつなぎ舟を製作する。多くの人に見学に来てもらい、後継者問題の解決につなげたい」と話した。
南信州地域振興局長賞は、ユニバーサルツーリズム推進に関わる受け入れ環境整備事業を行う阿智昼神観光局、棚田の観光地化などに取り組む飯田市千代の「よこね田んぼ保全委員会」、高校生と企業をつなぐ事業を展開する飯田市、三大都市圏で移住セミナーなどを開き移住促進を図る南信州広域連合、ものづくりや科学への興味・探求心を高めるための科学実験教室を開催する南信州飯田おもしろ科学工房(飯田市)、女性を中心に新規狩猟者確保のため、イベントの開催や環境整備を行う飯伊連合猟友会の各事業が受賞。
特別賞は、子どもから高齢者の咀しゃく啓発活動「かみかみリレー」などを展開した飯田女子短期大学の同事業が受賞した。
◎写真説明:優良事業として表彰された各団体の代表者