新型コロナウイルス感染拡大により、状況が悪化する地域の事業者や住民を支援しようと、飯田下伊那地域の各市町村は独自の経済支援策を打ち出している。国や県の支援に対して上乗せするものから、独自の協力金などを交付するものまで対応はさまざまだ。
飯田市は事業者の持続化支援として、市内の全業種を対象に給付金を独自に支給する。業種は問わず「売り上げが半分以下」を条件に、法人に20万円、個人事業主に10万円を上限に支給する。国の地方創生臨時交付金を活用する。
宿泊業者と旅行業者を対象に、法人に100万円、個人事業主に50万円を上限に支給する制度も設ける。「売り上げが8割以上減」を条件とし、全業種を対象とする給付金との併用はできない。
また飲食店などの事業者向けに、家賃を補助する独自の制度を創設。今年3~5月の売り上げが前年対比で5割以上減少した事業者に対し、2カ月分の賃料の8割(上限16万円)を支給する。
阿智村は観光・宿泊施設に対する独自の休業要請を踏まえ、休業しなかった場合に見込まれる収益を独自の方法で算出し、その半額を支給する。
国の持続化給付金の対象者と、前年実績がない新規事業者に対しては、中小企業に25万円、個人事業主に15万円を村が支給する。加えて、売り上げの5割以上を飲食業が占める事業者には25万円を加算。休業した施設との取引が売り上げの5割以上の事業者には50万円を加算する。
喬木村は大型連休中に休業・時間短縮に協力した事業者に対し、県の協力金30万円に加えて、売り上げが5割以上減少した事業者に20万円を支給。3割以上減少した事業者に対しては20万円を上限に、家賃3分の1、3か月分または固定資産税の2分の1を国の店舗賃料補助に上乗せする。
また、3密回避のため、配達業務を行う事業者には一律10万円を支給。村民にはテークアウトやタクシー配達で利用できる1000円分の商品券を配布する。
阿南町は町内の事業所約130店舗で利用できる2万円分の商品券を町民に一律配布し、町民の家計を支援するとともに消費の喚起を図る。事業所支援では商工特別定額給付金として町商工会と町工業振興会の会員約140事業所を対象に1事業所当たり一律10万円を給付する。
他の町村も独自の支援策を打ち出し、専決処分や補正予算化で対応を急いでいる。小規模自治体では一律10万円の国の特別定額給付金に上乗せしたり、商品券を配布したりして住民生活を直接支援する動きもある。