6日に告示された任期満了に伴う高森町議選は、定数と同じ14人が立候補し、無投票で当選が決まった。無投票は2001年の選挙(定数18)以来20年ぶり。議員のなり手不足の深刻化が懸念される一方で、30代、40代の新人4人が加わり、有権者からは期待の声も聞かれた。
当選者の内訳は、現職8人、新人6人。党派は共産3人、公明1人で他は無所属。女性は新人の2人。
地区別にみると、下市田と山吹、牛牧がそれぞれ1人増やした一方、吉田と上市田は1人ずつ減らし2人となった。出砂原は4年前に引き続き空白地帯となった。
6日はいずれの陣営も選挙カーで町内全域での遊説に繰り出し、新型コロナウイルス対策や防災、リニアを見据えたまちづくりなどについて訴える候補が目立った。
町議選を巡っては、5月末の立候補予定者説明会の出席が11派にとどまり、一時は定数割れも危ぶまれたが、30、40代の子育て・働く世代が中心となって候補擁立に動いた。
新人6人のうち1人が30代、3人が40代。13人が60歳以上だった改選前と比べて若手議員が大きく増加した。特に30代の女性議員は「初めてではないか」(町議会事務局)という。
4期目の当選となった大島正光議長(72)は「議員のなり手不足は全国的な傾向。見える化を進め、町民にとって魅力ある議会をつくっていかなければいけない」としつつも、「若手、女性議員が増えることで議会も活性化するのでは」と期待を寄せた。
新議員による臨時会は30日に開かれ、議長・副議長の他、各常任委員会の構成を決める。
同世代の町政参加促す
新人の齋藤さん、本島さん
新人の齋藤天(ひろし)さん(42)と本島未来さん(37)はともに県外からのIターン者。若者や子育て・働き世代に町政に興味を持ってもらおうと6月に設立された「みらいの高森をつくる会」のメンバーでもある。町議としての活動を通じ、同世代の町政参加を促していく。
齋藤さんは宮城県出身。所属する空手団体が町内で運営するフリースクールのスタッフとして10年ほど前に移り住んだ。東日本大震災を経験し、地域とのつながりの大切さを実感。40歳を過ぎ、「何か町に恩返しがしたい」と町議になることを決めた。
遊説する中で町民から期待の声を掛けられ、その思いはより強くなった。「さまざまな問題を抱える子どもたちを支援してきた経験、震災を体験した経験をまちづくりに生かすとともに、若者が町のことを自分のこととして真剣に考えられるような環境をつくりたい」と力を込めた。
一方、本島さんは北海道出身で3児の母。結婚を機に町に移住し、現在は町の子育てサークルの運営や母親向けイベントの企画などに携わっている。次回の町議選への立候補を目指し、勉強や人脈づくりのためにつくる会に入ったが、定数割れが危ぶまれる中で会からの要請もあり出馬を決意した。
「子どもたちに誇れる町をつくり、子どもたちの心に町を根付かせたい」と語る本島さん。Iターン者の目線で町の魅力を町内外に発信していく。「女性の声、子育て・働き世代の声を身近に聞きながら町政に届けていけたら」と意気込んでいる。
つくる会の久保田進会長(46)は「選挙に勝つことが目的ではなく、会としてもこれからがスタート」と2人を激励。「賛同する仲間を増やし、楽しく町政に関わっていけるよう活動したい」と話していた。
◎写真説明:花束を受け取る齋藤さんと本島さん