日本花の会(事務局・東京)はこのほど、南信州日本花の会代表で桜の名所づくりアドバイザーの森田和市さん(80)=飯田市龍江=が申請した桜を新しい園芸品種と認定した。母樹の思川桜より花びらが多く、森田さんは「思伊出桜(おもいでざくら)」と命名。接ぎ木をして増やし、桜の名所づくりに役立てたい考えだ。
森田さんは1996年に市内の公園に植えられていた思川桜の果実を20粒ほど採り、まいたところ5本が育った。うち1本は通常6~10枚の花びらが15枚から21枚と多く、思川より鑑賞性が高いことから自宅の敷地内で育ててきた。
園芸品種の認定は知人の勧めもあって申請し、専門家による98項目にわたる特性調査を経て、森田さんの80歳の誕生日(6月18日)に正式認定された。
原木は樹齢20年、樹高6・5メートル、幹周85センチ。4月中旬に咲き、花は「桜らしい紅色」(森田さん)。花びらが多いため、見栄えがすることが主な特徴となっている。
呼称は自身で決め、母種の思川の「思」と「伊那谷から出た桜」という意味合いを組み合わせた。
森田さんは「確率は非常に低く、20粒からたまたま1つ出たのはラッキーとしか言いようがない。鑑賞性が高く、皆さんが喜んでくれるこの木を後世に残したい」と話している。
日本花の会の桜認定制度は2年ほど前から始まり、これまでに思伊出桜を含めて13本を新しい園芸品種と認めた。
同会は制度化以前にも、森田さんが調査を依頼した「正永寺桜」「里原」「麻績の里舞台桜」を新しい桜の品種と判定している。