天龍村平岡のJR飯田線平岡駅について、JR東海が無人化する方針を村に伝えていることが18日、分かった。現在は駅員として関連会社・東海交通事業の社員が昼間のみ勤務し、切符販売業務に従事しているが、来年4月から配置しない意向。自治体に乗車券類の販売業務を委託して無人化を回避する簡易委託販売契約の締結について村に打診している。
大平巖・天龍村長が18日の南信州広域連合の会議で明かした。
JRから無人化の意向が伝えられ、同契約について10月末までに回答するよう求められているという。
JR東海広報部によると、平岡駅の乗車人員は1日平均約100人(昨年度実績)で、民営化初年度の1989年に比べ、72%減少している。「飯田線に限らず、管内複数の駅に関して、申し出をしている」という。
JR平岡駅には温泉や宿泊施設、売店を備える村の「ふれあいステーション龍泉閣」が併設されており、天龍村の重要な観光拠点となっている。
村は同駅や飯田線を核に交流イベントを重ねているほか、JR東海のウオーキングイベントに積極協力してきた経過があり、大平村長は「かねてからこうした状況を不安視し、飯田線を活用する観光事業を展開してきただけに、やるせない」と話した。駅の格下げにつながるとの不安もあり、「9月の村議会定例会で対応を検討したい」としている。
飯田下伊那地域内の飯田線駅は計30駅。国鉄の民営化前後から無人化が進められ、現在、駅員が常駐する駅は南から平岡、天龍峡、鼎、飯田、元善光寺、市田、伊那大島駅の7駅となっている。
JR東海は複数路線の小規模駅で無人化を検討しており、飯田線では平岡駅のほか、愛知県内の本長篠、東新町、三河一宮駅についても地元自治体に申し出をしているという。
リニア中央新幹線計画と絡めて将来の飯田線廃線への懸念も広がっているが、JR東海は「飯田線は大切な生活路線。維持することが使命だと考えている」(宇野護取締役)との発言を繰り返し、存続する姿勢を強調している。