創立27年でついに悲願達成だ―。飯田下伊那地域を拠点とするサッカークラブ「アザリー飯田フットボールクラブ」の男子トップチームは6日、北信越チャレンジリーグの最終戦を新潟代表と戦い、PK戦の末に勝利した。この結果3勝1敗でリーグ2位以上が確定し、チーム初となる北信越フットボールリーグ2部への昇格が決まった。
北信越チャレンジリーグは長野、新潟、富山、石川、福井の5県の県リーグ1位が総当たりで1回ずつ戦うリーグ戦で、1位と2位が北信越2部へ昇格する。アザリーは県を2連覇し、2年連続の出場。10月に開幕し、ホームの初戦で敗れたものの、その後2連勝。3チームが勝ち点6で並ぶ混戦となり、アザリーは勝利が昇格条件だった。
最終戦はアウェーの新潟県聖籠町で新潟代表のASジャミネイロと対戦。負けられない一戦に前半は互いに様子を見る展開が続き0―0で折り返した。
前半途中からフォーメーションを変えたことで流れが良くなり、後半20分、塚本潤がペナルティーエリアで倒され、PKを決め先制。しかし、給水を終えた後半30分に追いつかれ、さらに35分にコーナーキックからの混戦を押し込まれ逆転を許した。
残り10分を切り、勝つしかないアザリーは人数をかけて攻撃。終了間際の43分、相手のボールを奪うと、三村颯のクロスを田中嗣夫が受けて相手を交わし、劇的な同点ゴールを決めた。
2―2のまま90分で引き分けたため、即PK戦に。アザリーは5人全員が決め、GKの矢澤日向が4人目をセーブ。PK戦を5―4で勝利し、勝ち点8を得た。
他会場で同じ勝ち点だった福井代表がPK負けし、アザリーの昇格決定の報が伝わると選手たちはガッツポーズをして歓喜。感極まって泣く選手もいた。
上沼直樹選手兼監督(47)と本島龍二主将(27)も涙を見せながら熱く抱擁。上沼監督は「夢みたい」と感慨深く語り、「逆転されたが皆あきらめていなかった。今のチームが築いてきたものが出せた」と振り返った。本島主将は「プレッシャーもあり、勝ててほっとした。チームとして年齢的にも経験的にも今年が最大のチャンスだった」と心境を語った。
昨年は最終戦で敗れ昇格を逃したが今年は雪辱。本島主将は「選手がお互いプレーを理解し合い、連携が取れるようになった。ピッチ上でプレーを修正できるのが強み」と話す。
アザリー飯田は1995年創立。地元に根付いたチームとして育成に力を入れ、育成チーム出身の選手が多く活躍しているのが特徴だ。上沼監督は「歴史が積み重なって達成できた勝利。多くの方が関わり支えてくれたおかげ」と感謝し、「教え子たちが帰ってきて、ともに戦い勝てたことがうれしい」と話した。
来季は飯田下伊那のチームとして初めて北信越で戦う。上沼監督は「リーグの中では新人。何ができるか学んでいく」と語り、本島主将は「昇格しただけで終わらせず、北信越のレベルの高い試合を見せ続けられるチームにしたい」と意気込んだ。
◎写真説明:昇格を決め喜びの記念撮影をする選手たち(新潟県聖籠町で)