創設26年で悲願達成―。飯田下伊那地域を拠点とするサッカークラブ「アザリー飯田フットボールクラブ」の男子トップチームは4日、第42回県社会人フットボールリーグ1部の第6節で勝利し、同リーグで初優勝を果たした。
第6節は茅野市陸上競技場で、優勝争いをしていた2位のFCアビエス(茅野市)と直接対決。小雨でピッチの状況が悪い中、両チームとも長いパスで前に出すオープンな展開に。前半が0―0、後半も無得点が続き引き分けになるかと思われたが、最後のアディショナルタイムのラストプレーに、10番田中嗣夫選手(31)が中に切り込んでスルーパスを出し、21番岡本能知選手(24)がゴールを決め、劇的な勝利を収めた。
同クラブの上沼直樹会長(46)は「26年やってきて初めての優勝。悲願達成でただただうれしい」と感慨深げ。本島龍二主将(26)は「ようやくここまでこれた」と喜びを端的に語り、筒井淳貴副主将(25)は「長い年月の中でいろんな人が重ねてきてくれたものが、今回優勝という形になった」と感謝した。
今年の県リーグ1部は8チームによる1回のみの総当たり戦で、5月に開幕。アザリー飯田は幸先良く3―1で勝利すると、第4節を引き分けた以外は全て勝利。勝ち点16で2位のFCアビエスに4点差を付け、最終節を待たずに無敗で優勝を決めた。
第6節以外は全て3点以上得点したが、上沼会長は快進撃の要因を「守備が良くなった」と分析する。「守備が堅いことで安心して攻められるようになり、攻める回数が昨年から大幅に増えた。相乗効果になった」と語る。
また、今年は昨年から所属する選手がほとんどで、「連携がより上がった」という。本島主将は「昨年は新型コロナウイルスの影響で皆で練習ができず、公式戦で合わせる形となり、選手のポテンシャルを引き出せなかった。今年はシーズン前から練習試合もでき合わせられ、成熟した」と語る。
アザリー飯田は1995年創立。当時はチーム名が飯田FCだったが、99年に市民球団を目指し改名した。アザリーは飯田市花のみつばつつじを表す。その後ジュニア、ジュニアユース、キッズを立ち上げ、育成に力を入れている。今年の登録メンバー24人のうち、半数がジュニアユース出身で、クラブ育ちの選手が多いのが特徴だ。また、女子やシニアもあり、幅広い世代がサッカーを楽しめる環境づくりを進めている。
10~11月には北信越リーグ2部昇格をかけて、北信越チャレンジリーグに挑む。新潟、富山、福井、石川、長野の5県の1位チームによるリーグ戦で、2位以上になると昇格する。上沼会長は「平均年齢が26歳と若いチーム。目の前の試合一つ一つに勝つことに集中している」とし、「ここまできたからには1位になって昇格する。飯田下伊那の歴史を変えたい」と力強く語った。
◎写真説明:決勝ゴールを決め喜び合う選手たち(茅野市陸上競技場)